今月の表紙 パパ・タラフマラ舞台写真シリーズ『ガリバー&スウィフト』 Photo:Hiroshi KOIKE
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『30年間でパパ・タラフマラが関わった人々シリーズ』
パパ・タラフマラの照明を巡って



『パパ・タラフマラ舞台写真シリーズ』
ガリバー&スウィフト

小池博史が語るパパ・タラフマラをめぐる人物論。

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30年間でパパ・タラフマラが関わった人々シリーズvol.4

パパ・タラフマラの照明を巡って

  パパ・タラフマラの照明というと、もうほとんどが関根有希子さんだ。そもそも照明家を雇うような余裕ゼロだった当初はドドドっと吊って、点灯させ、そのまま最後まで何の変化もない、というのがほとんどであった。照明は凝らなくても良いと思っていた。照明は空間を一変させるが、下手な照明で空間的なまやかしを行うよりも、演者の力で見せた方がよほど可能性があると思っていた。それはそれで正しいと思う。研究生たちに今でも言うことは照明に頼るな、ということ。照明は補助である。照明をどんなに凝っても大元が悪ければ、素晴らしい舞台にはならない。この基本を忘れてはならない。ところが、研究生たちは、これでもか、と照明をいじりたがる。そりゃあ、分からなくもない。卒業公演ともなると、自分自身でプロの照明家と渡り合えるのだから、楽しくないはずがない。だが、照明に凝る時間があるのならば、もっと自分たち自身を鍛え込んだ方がよほどいいと思う。それが基本だ。

 照明とは絶対的な脇役なのである。主役に躍り出ることは絶対にない。ただ、脇役によって非常に高い可能性を感じさせることはよくあるのは皆さん、ご存じの通り。たとえば、町中のライトアップなどを考えてもらえればよく分かる。ライトアップがなければ、夜になれば、ただの不気味な存在でしかなかった歴史的建造物が突然、素敵な建物に変化し、シャンゼリゼもエッフェル塔も表参道も、ただの道、ただの塔が素敵な場所へと早変わりしていく。それは発光体となることで、夜に命が芽生えるような感触があるせいだろうと思う。

 舞台照明も同じようなモノである。だが、どんなに厚化粧しても素材が悪かったらダメなのだ。逆に気持ち悪くなるだけであろう。料理と一緒である。素材が悪いのに、味付けをコテコテしてもそれはくどいだけで、調味料の味を食わされる羽目になる。私はこういう料理も照明も嫌いなのである。照明家でも音楽家でも美術家でも、多くは主張しようとする。主張した方が楽だから、というのはある。エゴもプライドもある。音楽家は音楽で語ろうとし、美術家は美術で・・・だが、そういう舞台はうるさいだけになる。音楽も美術もすべてはハーモナイズしなければ意味がないのだ。そこで、主張しないで、主張する手法を身につける必要がある。照明にももちろん主張せずして、主張する強い照明というのがあるのだ。

 それを学んだのが関根さんの照明であった。彼女は元転形劇場の俳優、大杉漣さんから転形劇場のアトリエであったT2スタジオで、紹介された。思えば、亡くなってしまったが太田省吾さんや大杉さんとの付き合いは1985年からの事。それから1年後に紹介され、かれこれ25年渡って、パパ・タラフマラの照明のメインとして活躍してくれた。最初は、‘モンク’という作品の照明オペレーターとして入り、その次の‘アレッホ’から照明プランナーとしてずっとやってきてもらったのだった。

 関根さん以外にも、上川真由美さんや中山奈美さんにも手伝ってもらったが、圧倒的な数の作品を関根さんと共に作ってきている。関根さんの照明は、基本、主張しない。照明の存在を忘れる強さを持つ。それが良いのだ。その明かりは、葛西さんのデザインなどにも通じるだろう。葛西薫デザインとは、主張しない強烈な主張である。その同じような文脈の中で関根さんの照明は存在し、主張している。

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パパ・タラフマラ舞台写真より。

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パパ・タラフマラ 舞台写真シリーズ
 ガリバー&スウィフト


Photo:Hiroshi KOIKE
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パパ・タラフマラ最後の新作
『Between the LINES』上演しました。

 去る10月1日(土)、2日(日)川崎市岡本太郎美術館において開催された、岡本太郎生誕100年記念イベント・ダンス公演『TAROと踊ろう! 』の企画で、新作『Between the LINES』を上演いたしました。岡本太郎作品「ひもの椅子」が舞台上に置かれ、パパタラワールドにTAROが登場する他では観る事のできない贅沢な作品となりました。

Photo:Hiroshi KOIKE

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パパタラ ファイナルフェスティバル
チケット特別先行予約のご案内

 いよいよファイナルフェスティバル4作品のチケットが10月22日(土)より発売されます。それに先駆けまして、先行予約のご案内です。パパ・タラフマラを観劇できる最後のチャンスです。歴史に立ち会いましょう。良いお席はお早めに!!

<先行予約受付期間>
2011年10月15日(土)11:00から
10月21日(金)20:00まで
先行予約専用ページ 
http://pappa-tara.com/fes/tickets_senkou.html 
tel:03-3385-2066
※お電話は大変な混雑が予想されますので、上記のURLよりご予約いただければ幸いです。

お振込先口座 楽天銀行 オペラ支店 普通預金 7031410 
株式会社サイ

<先行予約特典>
●先行予約期間中、パパタラファイナルフェスティバル実行委員会事務局よりご予約頂いたお客様に限り、ご希望の座席エリアをお選び頂けます。詳しくは先行予約専用ページをご覧下さい。

<ご予約方法>
1、お電話又は先行予約専用ページよりお申し込み下さい。
2、先行予約受付期間内に所定の振り込み口座までご入金下さい。
3、チケットの発送は10月22日(土)以降となります。
※10月末日までにチケットがお手元に届かなかった場合は、恐れ入りますが事務局までお問い合わせ下さい。 

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【 三人姉妹】
世界25都市以上で上演を果たした大人気作。
お馴染みチェーホフの「三人姉妹」を、小池博史がナンセンスに、シニカルに、体のパフォーマンスとして、誰でも楽しめるエンターテイメント作品に作り上げた。斬新な切り口でお届けする爽快トラジック・コメディ。
作・演出・振付:小池博史
出演:白井さち子 あらた真生 橋本礼
<公演日>2011年12月20日(火)〜22日(木)
●12月20日(火):19:00〜  
●21日(水):19:00〜
●22日(木):19:00〜
上演時間約60分。(休憩なし)
<料金>全席指定席
前売一般=3,500円、学生・65歳以上・身障者割引=3,000円 
当日券 各券の500円増 
<会場>北沢タウンホール(北沢区民会館)
−下北沢駅下車南口より徒歩4分

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【 島-island】
パパタラ最小規模作品、5年ぶりの再演。
それぞれの『島』抱えた男女の、最もシンプルで、最も美しい作品。禁欲的なまでにシンプルな舞台に男と女がそれぞれの幻影を描き、物語を生み出していく。
作・演出・振付:小池博史
出演:小川摩利子 松島誠
<公演日>2012年1月13日(金)〜15日(日)
●1日13日(金):19:30〜
●14日(土):13:00〜 ,18:00〜
●15日(日):13:00〜 ,18:00〜
上演時間約60分。(休憩なし)
<料金>全席指定席
前売一般=3,500円、学生・65歳以上・身障者割引=3,000円 当日券 各券の500円増 
<会場>森下スタジオ Cスタジオ
−森下駅下車A6出口より徒歩5分

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【 SHIP IN A VIEW】
毎年再演の声がかかるパパタラ不朽の名作。
1960年代、日本が高度経済成長にさしかかってきた頃、様々な産業が混沌として並び立っていた工業港都市をイメージした作品。海をはじめとする豊かな自然と、林立する工場といった人工的なものとでひしめく町に育った少年にとって、「船」は、その町と外の世界をつなぐもの、外の世界への出口でもあった。
作・演出・振付:小池博史
出演:小川摩利子 松島誠 白井さち子 関口満紀枝 あらた真生 池野拓哉 菊地理恵 橋本礼 南波冴 荒木亜矢子 石原夏実 / 縫原弘子 ヤン・ツィ・クック
<公演日>2012年1月27日(金)〜29日(日)
●1月27日(金):19:30〜  
●28日(土):13:00〜 /18:00〜  
●29日(日):13:00〜
上演時間約90分。(休憩なし)
<料金>全席指定席
前売:
S席=8,700円(パパ・タラフマラの本(仮)〈青幻舎より刊行〉付き)
A席 一般=5,500円、学生・65歳以上・身障者割引=4,800円
B席 一般=4,200円、学生・65歳以上・身障者割引=3,800円
当日券 各券の500円増 
<会場>シアター1010(足立区芸術劇場)
−北千住駅 西口直結

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【 パパ・タラフマラの白雪姫】
パパタラ初の全国ツアー作品!子供も大人も楽しめる童話シリーズ。
パパ・タラフマラ童話シリーズ第3弾。童話という誰にも知られた素材をこれまでに無い手法で全く新しく作り変え、子供も大人も楽しめる突き抜けた娯楽作品へと昇華。ひとつの神話的世界を舞台上に現出させることで、老若男女問わず多くの観客を魅了してきました。
作・演出・振付:小池博史
出演:あらた真生 白井さち子 菊地理恵 橋本礼 南波冴 荒木亜矢子 石原夏実 小谷野哲郎 アセップ・へンドラジャッド
<公演日>2012年3月29日(木)〜31日(土)
●3月29日(木):19:30〜 
●30日(金):13:00〜 ,19:30〜 
●31日(土):13:00〜 ,17:30〜
<料金>全席指定席
前売一般=4,500円 学生・65歳以上・身障者割引=3,800円
当日券 各券の500円増 
<会場>北沢タウンホール(北沢区民会館)

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パパフェス実行委員会事務局だけのお得なセット券もあります!
全演目(一般席、S席【パパブック付き】) 
+雑誌「風の旅人」最新号プレゼント
+パパタラ ラスト音楽イベント割引券?
+パパタラDVDBOX 割引券
※セット券はパパフェス事務局でのみの取扱となります。
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小池博史への質問コーナー

Q:俳優志望です。日々、どのようなトレーニングをすれば、良い演者になれるでしょうか?また、どんな事を意識して舞台に立てばよいか、教えてください。
 よろしくお願いしますm(_ _)m (かっちゃん 24才 男性)

A日本の俳優は身体ではなく、口先だけで何とかなるようです。台詞回しがうまいというヤツ。映画やテレビならば、それでごまかせます。しかし、舞台に立つならばそれだけではごまかせません。
  本当に良い俳優になりたいならば、身体を鍛えることです。もちろん台詞の稽古はしなければなりません。ですが、鍛えられていない身体を持った俳優を見ていると、どうも芯のないフニャフニャ身体で気味悪く見えます。多角的トレーニングが一番良いでしょう。踊りもやった方が良い。しかし、最も重要なのは自身の‘自由さ’を知ることだと思います。感覚を掘り起こし、自在に自分の‘自由’を引っ張り出す。非常に不自由だと思いますが、それをやっていかないとなかなか自由にはなっていきません。

 舞台に乗ったら考えないことです。自分自身が感覚体になることです。そのためには考える訓練と考えない訓練をすることです。(小池博史)



 質問は、まだまだ受付中です。舞台に関する事でも、それ以外のことでも、小池博史に聞いてみたいと思う事は、なんでもお気軽に下記メールアドレスにお寄せ下さい。

質問送付先:
ookubo@fule-yurara.com
件名:「小池さんへの質問」とご記入ください。
質問の他に、年齢、性別、掲載可のニックネームをお書き添えください。


※すべての質問にお答えできるわけではございませんので、ご了承ください。
※メールマガジンに掲載される可能性があることをご了承いただいたうえで、お送りください。事前に掲載の連絡はいたしません。

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小池博史 公式サイト

パパ・タラフマラ
ファイナルフェスティバル公式サイト
 
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毎月10日発行
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発行・H island編集 大久保有花